いわれ
江戸時代に庶民に普及されたと言われる。
１年に五つの節句を持つ日本の暦。 その日は神様にお供えをし、
家族揃って節振舞にあずかる。
これがおせちの始まりとなり、今はお正月の料理をおせちと呼ぶ ようになった。
ちなみに五つの節句は、
１月７日の人日、 ３月３日の上巳、 ５月５日の端午、 ７月７日の七夕、 ９月９日の重陽 を指す。
五穀豊穣を願い、家族の安全と健康、子孫繁栄の祈りを込めて、縁起のよい食材の名にこと寄せ、
海の幸、山の幸を豊かに盛り込んだもの。
昔から、五法・五味・五色をバランスよく取り入れて作るのがよいとされていた。


紅白かまぼこ
紅はめでたさと喜びを表わし、白は神聖を表わすのは、
日本ばかりか東アジアやインドネシアにも残っている古い習わし。
上棟式や結婚式に紅白のもちを撒く習慣があるように 、
お正月は紅白の色で祝いたいものです。

昆布巻き
喜ぶのことばにかけて、昆布はお正月の鏡飾りにも用いられている。

えび
腰曲がりえびは、長いひげをはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願って
お正月飾りやおせちに用いられる。

伊達巻
お正月には巻物がよく出てくる。
昔の人は、大切な文書は巻物に装丁し、絵は掛軸に仕立て、家宝にしていた。
江戸時代、長崎に伝えられたしっぽく料理の中に、「カステラかまぼこ」というものがあった。
これが江戸に伝えられ、伊達者達が着ていたドテラに似ていった事から伊達巻と呼ばれるようになったようだ。
伊達者とはシャレ者という意味。

田作り（ごまめ）
豊作を願い、小魚を田に肥料として撒いたことから名づけられた田作り。
片口鰯の小魚を天日で干し上げたごまめを砂糖としょうゆで調理したもの。
五穀豊穣を祈る、昔の人々の心を味わえるのも、お正月ならでは。

ごぼう
　 細く長く地中にしっかり根を張るごぼうは、
お正月料理やお菓子に重要な役割を果たしている。
宮中でお正月に配られる花びら餅の芯にも、ごぼうが用いられ、
大切に扱われているのです。

錦玉子
黄身と白身の２色が美しい錦玉子は、その２色が金と銀にたとえられ、
お正月料理として喜ばれます。２色を錦と語呂合せしているともいわれる。

数の子
ニシンから多くの子が出るのを好き事とし、古くからおせちにつかわれた。
今は数の子も高価な品となったが、
かつて、数の子は日本中どこでも入手できる一般的なものだった。
現在使われているのは塩数の子。

おたふく豆
　 「阿多福」という字が当てられ、文字通り福を招く食べ物として、
祝い膳にはよく登場する。
空豆の一種で、その形が、ふくよかなおたふくの顔に似ているところから、
この名前がつけられた。

栗きんとん
黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かな1年であるようにという願いが込められている。
また、「勝ち栗」という言葉があるように、
栗そのものが昔から縁起のよい食べ物として尊ばれてきた。
日本中のどこでもある栗は、山の幸の代表格。
砂糖の貴重な時代には、多くの砂糖を使用して調理する栗きんとんは、大変贅沢な料理だった。

黒豆
黒豆を上手に炊き上げることができれば、お嫁さんの及第点といわれたくらい、
豆を軟らかく炊き上げるには、技術も経験も必要。
また、植物性の高タンパクである豆は、
肉食の風習がなかった昔では、欠くことのできない栄養食品だった。
この黒豆がお正月に登場するわけは、
「まめ」が丈夫・健康を意味することばだったからだ。
歌舞伎ことばに
「まめに暮らせ」とか「あなたもまめね」というセリフがよく出てくる。

おしまい