木と彩色層の接着を強化し刀跡の凸凹補正
・木地磨き…#60のペーパーで木地の表面が滑らかになるように磨く。刀跡の凹み箇所はそのままにしておく。何度か塗るうちに胡粉で埋まる。 細かいペーパーでは凹んだ部分も磨く可能性が大なので推奨できない。 マブタなど細い箇所は#100で磨く。 ・裏塗り…防腐効果、演者の汗や脂からの保護に水性ステインを3回塗る。以前はカシュー、過マンガン酸カリを使っていた。 めんどくさと気遣いが少ないからだ。 最後に水性ニスを水でかなり薄めて塗ると良い。 ・ にかわ液作り‥ にかわ1gに対し、水20ccの割合で湯煎( にかわ5gで水100ccが上塗りを含めちょうど良い。 (1円玉は1グラム。これで5グラム。 水は湯煎で蒸発するので120tを入れておく。 溶けたときには100tになる。) ・にかわ(膠)…動物や魚の皮・骨などを水で煮沸し、その溶液からコラーゲンやゼラチンなどを抽出し、濃縮・冷却し乾燥凝固させたもの。接着力が強い。 ・ごふん(胡粉)…白色顔料。カキ、ホタテの貝殻を粉砕、水簸(すいひ)、乾燥したもの。 |
乳鉢に胡粉を入れ、磨りつぶし、にかわ液を加え乳棒でよく溶き混ぜる。 中さじ1杯の胡粉に対し、にかわ液は10ccの割合で、 量は面の大きさ、作業時間を見計らい適量にする。 とうし(#150)できめ細かくしておく。入れ物は蒸発を防げるよう蓋ができる物にしておく。 ・保管…作ったにかわ液、胡粉液とも使わないときは冷蔵庫に入れておく。常温では3〜5日で腐敗する。冷蔵庫だと10日間ほど 使用可能。 ・作業温度…作ったにかわ液、胡粉液とも |
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@大きめの筆で刀跡の大小によって面に3〜5回塗り付ける。塗り斑、胡粉液の溜まりができないよう注意。その後#80のペーパーで 表情を崩さないように磨く。(これで1セット) A状態を見て@を2、3回繰り返す。 ・重ね塗りするときは天気、気温、湿気により30分〜1時間ほど乾かす。木地に直接塗るはじめの頃は長めに乾かす。 ・―@―の写真は3回塗った後、顎の部分をペーパー磨きしたところ。木地がうっすらと見える。凹んでいる箇所に胡粉がのる。 ・―C―の写真は十六で木地磨きをあまりしなく下塗りをした。3回塗りペーパーで磨いたところだ。 ・―B―の写真は2セット目の塗り3回目。ペーパー磨き後まだ少しだが凸凹が見えた。3セット目が必要だ。 ・胡粉は器の中で底に沈殿する。 よく混ぜてから塗りつけよう。 |
塗り、彩色時に面の表を手で触るとべとついたり汚れる。 裏側の耳穴に持ち手をつけると便利だ。 丸棒にボルト、ナットを埋め込み面幅調整が出来るように作った。 |
3セットの塗りと磨きで完成。 目玉の接着…胡粉が目の周りにくっついているので彫刻刀で取り除きエポキシ系接着剤で張り付ける。 次は 上塗りだ。 |