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昔昔(むかしむかし)、浦島は 助けた亀(かめ)に連れられて、 龍宮城(りゅうぐうじょう)へ来て見れば、 絵にもかけない美しさ。 乙姫様(おとひめさま)の御馳走(ごちそう)に、 鯛(たい)や比目魚(ひらめ)の舞踊(まいおどり)、 ただ珍(めずら)しくおもしろく、 月日のたつのも夢の中(うち)。 遊(あそび)にあきて気がついて、 お暇乞(いとまごい)もそこそこに、 帰る途中(とちゅう)の楽しみは、 土産(みやげ)に貰(もら)った玉手箱(たまてばこ)。 帰って見れば、こは如何(いか)に、 元(もと)居た家も村も無く、 路(みち)に行きあう人々は、 顔も知らない者ばかり。 心細(こころぼそ)さに蓋(ふた)とれば、 あけて悔(くや)しき玉手箱、 中からぱっと白煙(しろけむり)、 たちまち太郎はお爺(じい)さん。 |