暫時(しばし)もやまずに 槌(つち)うつ響(ひびき)。 作詞作曲不詳/文部省唱歌
飛び散る火の花、はしる湯玉(ゆだま)。
鞴(ふいご)の風さえ 息をも継(つ)がず、
仕事に精出す 村の鍛冶屋(かじや)。
あるじは名高き いっこく老爺(おやじ)、
早起(はやおき)・早寝(はやね)の、病(やまい)知らず。
鉄より堅(かた)しと ほこれる腕(うで)に
勝(まさ)りて堅きは、彼がこころ。
刀(かたな)はうたねど、大鎌(おおがま)・小鎌(こがま)、
馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐわ)、鋤(すき)よ、鉈(なた)よ。
平和のうち物 休まずうちて、
日毎(ひごと)に戦(たたか)う、懶惰(らんだ)の敵(てき)と。
かせぐにおいつく 貧乏なくて、
名物鍛冶屋は 日日(ひび)に繁昌(はんじょう)。
あたりに類(るい)なき 仕事のほまれ、
槌うつ響に まして高し。