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汽 車

今は山中、今は浜(はま)、
今は鉄橋(てっきょう)渡るぞと、
思う間も無く、トンネルの
闇(やみ)を通って広野原(ひろのはら)。

遠くに見える村の屋根(やね)、
近くに見える町の軒(のき)。
森や林や田や畠(はたけ)、
後(あと)へ後へと飛んで行く。

回(まわ)り燈篭(どうろう)の絵のように、
変わる景色(けしき)のおもしろさ。
見とれてそれと知らぬ間(ま)に、
早くも過ぎる幾十里(いくじゅうり)。

作詞不詳・大和田愛羅作曲/文部省唱歌 (1912年)